自宅の庭を気品が高く、静かな楽園にする方法として枯山水をおすすめします。
枯山水は流行にとらわれないため、世代問わず受け入れられます。
日本の伝統文化でありながら、モダンにアレンジすることも可能で、手入れが一般的な庭に比べて楽であることもおすすめです。
この記事では、枯山水の魅力にせまりつつ、作り方を解説していきます。記事後半では必要な手入れも解説していくので、最後までご覧ください。
こんにちはテツです。
執筆者
- 経歴:外構専門店6年・土木職人2年・ハウスメーカー9年
- 資格:1級エクステリアプランナー・2級土木施工管理技士、など
- 現在:外構専門店運営・現役フリーランス
枯山水は坪庭にもおすすめです。坪庭に関して詳しくは、坪庭の魅力と効果!小さな空間を最大限に活かして見た目と心を豊かにしようをご覧ください。
枯山水とは:水を使わずに山水の風景を表現する手法
枯山水(かれさんすい)とは、日本の庭園芸術の一つで、水を使わずに石や砂を用いて山水の風景を表現する手法です。
枯山水は面積の広さを問わず、水も使わないため屋内や屋上にも作れます。また、近代的な建築にも合うため、人気が高い様式です。
まず、枯山水の基本情報として以下の3つを解説していきます。
- 枯山水の起源と広まり
- 枯山水の魅力
- 枯山水の代表作
枯山水の起源と広まり
枯山水の起源についてまとめると以下の通りです。
平安時代以前
枯山水の最古の史料「作庭記」によると、以下のように記されています。
”池もなく遣水もなき所に石をたつる事あり、これを枯山水となつく。枯山水の様は片山のきし、或いは野筋などをつくりいてて、それにつきて石をたつるなり”
水のない所に石を配置することを枯山水と紹介しています。
鎌倉時代
禅宗が中国から伝わり、京都の西芳寺はもともと池泉庭園でしたが、1339年に枯山水庭園に改修されました。
室町時代以降
枯山水様式が完成し、後期式枯山水が多く作られるようになりました。枯山水は禅宗の影響を強く受けた庭園ですが、禅の精神性を表現したものでなければ禅の庭とは言えず、枯山水と禅の庭はイコールではないとされます。
枯山水は時代や造園の方法によって異なり、植物と石が織りなす色の対比や、石や砂だけの静かな佇まいを楽しむことができ、平庭式、準平庭式、築山式、枯池式、枯流れ式、特殊形式などに分類されます。
枯山水の魅力
枯山水の魅力は、簡素さと奥深さです。
「水を模した砂の紋様」「山を象徴する石」が作り出す風景は、見る角度や心情によって表情を変えます。枯山水の風景はまるで、自然の有様をそのままに、かつ自然以上の美しさを追求したかのような芸術です。
また、枯山水は観賞者自身の内面を映し出す鏡のようでもあり、それぞれの人が見る風景は、それぞれの人自身の世界観を反映しています。
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枯山水の代表作
枯山水の代表作うち4つを以下に紹介します。
龍安寺の石庭
15個の石と白い砂が配置されたこの庭は、その配置や意味についてさまざまな解釈があります。
大德寺瑞峯院の「独坐庭」
荒波に打ち寄せられても雄々と独坐している蓬莱山の風景です。
東福寺龍吟庵の「龍門の庭」
「龍吟庵」の寺名にちなみ、龍が海中から浮かび上がる姿を石組によって表現した庭園。
光明禅寺の「一滴海之庭」
苔と白砂で海と陸を表現した庭園で、紅葉の時期も美しいです。
枯山水の作り方:手順5つ
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自宅で枯山水を作る方法を詳しく解説します。
手順1:デザインを決める
とにかく、まずは枯山水のデザインを決めましょう。
「場所・ボリューム・配置・素材」など計画すべての基本になります。
植物をたくさん使うのであれば、日当たりや風通しも考慮に入れることが大切です。
手順2:整地・排水計画
選んだ場所を整地します。
地面が平らでなければ、石や砂利が不均等になり、見た目が悪くなるだけでなく、雨水の排水もスムーズに行えません。
また、枯山水は水を使わない庭園ですが、雨水の排水計画も必要です。地面を適度に傾斜させ、雨水が自然に流れるようにしましょう。
手順3:石を置く・組む
枯山水の主要な要素である石を配置します。
石は山や岩を表現するために使用され、その形状や配置によって様々な風景を表現できます。石の配置は自由ですが、自然な風景を模倣することを心掛けましょう。
有名な石組みとして以下に例を挙げます。
- 三尊石組(さんぞんいわぐみ)
- 七五三石組(しちごさんいわぐみ)
- 鶴亀石組(つるかめいわぐみ)
- 神仙蓬莱石組(しんせんほうらいいわぐみ)
- 須弥山石組(しゅみせんいわぐみ)
- 陰陽石組(いんよういわぐみ)
- 枯滝石組(かれたきいわぐみ)
手順4:植物を配置する
枯山水には一般的に植物は少ないですが、植物を適切に配置することで、より豊かで自然な風景を作り出すことができます。特に苔を主体とした植物の配置が好まれます。
植物の配置も自由ですが、石とのバランスを考慮することが大切です。
手順5:砂利を敷く
砂利は一袋20kgほどで、1平方メートルを敷き詰めるのに3~4袋必要になります。砂利を敷く厚さは、下の土が見えないように4cmほどが適切です。防草シートも併用すると雑草対策になるのでおすすめです。
砂利は白川砂利が定番ですが、白っぽい砂利であれば種類を問わず雰囲気にマッチします。
砂利を均一に敷き詰めたら、レーキを使って模様を描きます。模様は水の流れや波を表現するため、直線や波線、円など様々な形に挑戦しましょう。
枯山水庭園の維持は3つの手入れ:長期的な視点を持つ
枯山水庭園の美しさを長期的に維持するためには、適切な手入れが必要です。
メインとなる以下の3つの手入れについて解説していきます。
手入れ①:定期的な清掃と砂利の模様直し
枯山水庭園の特徴である砂利は、風や雨、落ち葉などによってその美しさが損なわれることがあります。
特に砂利の模様は風や雨で乱れやすいため、レーキを使って定期的に直すことが大切です。
手入れ②:植物の剪定と肥料
枯山水庭園には、植物も重要な要素となるため、植物の手入れも欠かせません。
剪定は、植物の形を整えるだけでなく、健康を維持するためにも重要です。また、肥料を適切に与えることで、植物はより美しく、健康に育つことができます。
≫参考:庭木の剪定する時期は?一覧表付き【手が届く所ならDIYもOK】
手入れ③:苔への水やりと草取り
苔を植えてから根付くまでの最初の2か月間は、一週間に2〜3回を目安として水やりが必要です。
苔を植えて2ヵ月以上経ったら基本的に水やりの必要はありませんが、変色など乾燥の状態を見て調整します。
水やりのタイミングは、太陽が出ていない時間帯にしてください。特に真夏の日中、炎天下の中での水やりは苔が蒸れて枯れてしまうことがあります。
草取りも必要で、苔も一緒に取れてしまわないようにするのがちょっと面倒です。草が小さいうちからこまめに草取りをしてください。
よくある質問
石庭と枯山水の違いは何ですか?
石庭は、水を使わない「枯山水」のうち、草木をほとんど使わず、石・砂(・苔)だけで表現した庭の一ジャンルです。枯山水は、石や白砂で山、島、海、雲などの自然風景を表現する庭園です。石庭は、石や砂で抽象的な模様を表現することが多く、枯山水よりもシンプルなデザインが多いです。
枯山水はなぜ広まった?
枯山水は、13世紀頃から禅宗の思想の影響を受けて広まりました。禅宗の寺院で抽象的に発展し、その後、日本各地に広がりました。京都の龍安寺、大仙院、西芳寺の庭園が、枯山水として有名です。
枯山水を作った人は誰ですか?
日本では、鎌倉時代の禅僧、夢窓疎石(むそうそせき 1275-1351)が枯山水の第一人者として知られています。夢窓疎石は、西芳寺や天龍寺などの枯山水庭園を作りました。
まとめ:自宅の庭を枯山水に挑戦しよう
この記事をまとめると以下です。
- 枯山水とは
- 枯山水の作り方
- 枯山水庭園の維持・手入れ
自宅に枯山水庭園を作ればリラックスできる場になり、自己表現の場にもなります。
自分で作り上げた庭園を眺めながら、日々のストレスを解放し心が満たされたとき、幸せだと感じるでしょう。